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池上彰監修『僕らの未来が変わるお金と生き方の教室』(2023年)②

「お金」を考えることは「これからの社会」を考えること

教育×お金

私は中学校の社会科の教員としてこれまで様々な内容について,生徒ともに考えてきました。

将来生徒たちが社会の中で生きていく上で,「お金」について学ぶことはとても大切だと思います。

実際の社会では、「~歳になったからそろそろ〇〇を買わなければ」という先入観に囚われてお金を使っている人が多いなと思うのです。

本来、「お金」は自分なりの軸をもとに、貯めたり、自分やその周りの人たちの生活をより良くするために使ったりするものだと思うのですが、自分や周囲の先入観に従ってお金を使った結果、後々の自分が苦しむ結果を招いている人も見受けられるのです。

このように、大人でも迷わされている「お金」について考える、多様な考え方に触れることのできる本があります。

それが今回紹介する、池上彰監修『僕らの未来が変わるお金と生き方の教室』(2023年)です。

〇この本の目次

・第1章 お金とは何か?←以前の記事に感想を書きました。

第2章 お金と世の中のしくみ(今回の記事はこの章についてです)

・第3章 私たちの生活とお金

・第4章 上手なお金との付き合い方

・第5章 世界と日本の問題を知ろう

・第6章 未来あるあなたへ伝えたいこと

上記の内容が、オリジナルの漫画のストーリーとも関連しながら展開されます。

〇各章の感想

・第2章 お金と世の中のしくみ

この章では、「銀行」、「中央銀行」、「政府の財政」、「社会保障」、「国債」、「景気対策」、「株式会社と株主」、「円高・円安」、「日本の貿易とエネルギー自給率」などについて概説されます。

中学校の公民の教科書の経済分野の内容を、最新の統計などを用いてより詳しくしたものとなっています。

中学生だけでなく、社会人が復習の意味で目を通しても多くの学びがあると思います。

印象に残ったフレーズ①

もし銀行がつぶれた場合には、1つの銀行につき、1人1000万円までとその利息分が全額保護されて支払われます。

→この内容は大人でも「はじめて知った…。」という人が多いのではないでしょうか。

この仕組みは、「預金保険機構」という組織の存在によって成り立っています。

各種金融機関は預金保険機構に保険料を納めます。金融機関が万が一破綻した際には、預金保険機構から金融機関の預金者に1000万円までとその利息分が保険金として支払われるのです。

この内容は一般的な中学校社会科の教科書にそれほど詳細に記述されていませんが、私は授業で生徒の興味・関心を高めるためにクイズとして出題したことがありました。

その時の生徒の反応の中に、「預金1000万円なんて高すぎて、自分には関係ないや」というものがありました

私は「いまのみんなには縁遠いかもしれないけど、もしかしたら関係する時が来るかもしれないよ」と答えました。

確かに1000万円が大金であることに間違いはないのですが、一方で、アメリカについてこんな記事が話題になったこともありました。

米住宅都市開発省の調査では、サンフランシスコにおいて年収1400万円の4人家族を『低所得者』に分類した。」(中藤玲『安いニッポン 「価格」が示す停滞』(日経プレミアシリーズ、2021年より)

以前、小林美希『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書、2022年)を読んだときにも思ったのですが、なかなか賃金が上がらない実態のある日本という国において、なかなか若者が将来に希望を見いだせない実態があるのではないかと感じます。

金融機関の仕組みについて説明している箇所から、このようなことを考えるのは少し突飛なのかもしれませんが、「預金1000万円なんて高すぎて、自分には関係ないや」という

生徒の発言から、いろいろなことを考えさせられたなあという回顧でした…。笑

・印象に残ったフレーズ②

「エネルギー自給率を上げるためにどうする?」「再生可能エネルギーを増やす?」「原子力発電所を再開・新設する?」

→日本のエネルギー自給率は11.2%(2020年)というデータが紹介され、どう対策していくか投げかける箇所となっています。

日本国内では、採掘可能な化石燃料があまり多くないです。

そのため、多くの化石燃料は輸入に依存しています。

いくら日本の発電所が、変電効率の良い技術を持っていることを喧伝してみせても、自国の化石燃料に乏しいことは、近年の円安も手伝って国民生活に大きな打撃を与えます。

また、「地球温暖化ではなく、地球沸騰化だ」と国連が声明を出したことも考えると、温室効果ガスをなるべく出さないエネルギーの確保は重要な課題となりそうです。

私が生活している「とある地方都市」は、東日本大震災で被災した地域であり、都道府県内に原子力発電所もあります。

安易な再稼働には、賛同しかねる地域の声が根強くあります。

しかし、未来を担う子どもたちが、今後の日本のエネルギーはどうあるべきか考えることはとても意義のあることだと思います。

私はいまの小・中校生よりも、早く生命が尽きる可能性が高いです。

未来ある若者たちが、適切な判断材料のもと原発の再稼働に賛同するのであれば、それは致し方ないことなのかなと感じます。(もちろん事故などのリスクを飲み込めるかが議論になるのでしょうが…)

以上のように、本書は「お金」を通じて社会の仕組みについて学ぶとともに、「自分はどのような社会に生きたいか」を考える良い題材になると思います。

今回は「第2章 お金とは何か」で印象に残った内容を紹介しました。

(というより、それに付随して自分が思ったことが多くなってしまいましたが…)

学びが多い本なので、今後も各章を読んで考えたことを発信していきたいと思います。

最後までお読みくださりありがとうございました。