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『機動戦士ガンダム ククルスドアンの島』

戦争と平和 科学技術を使うということ

教育×アニメ

2022年に機動戦士ガンダムシリーズの劇場版である『機動戦士ガンダム ククルスドアンの島』が上映されました。

私は少し間をおいて、やっと先日アマゾンプライムにて視聴することができました。

とても印象に残る作品となったので紹介します。

◎まずは機動戦士ガンダムシリーズについて

機動戦士ガンダムシリーズは1979年にテレビシリーズがスタートし、現在でも新しいシリーズが継続しています。

今回紹介する『ククルスドアンの島』は、最初のガンダム作品である『機動戦士ガンダム』の第15話『ククルスドアンの島』をリメイクした作品となっています。

この最初のガンダム作品である『機動戦士ガンダム』は、地球の人口が増加し宇宙への移民が進む中、宇宙移民たちの国である「ジオン公国」が、地球に置かれている連邦政府に対して独立戦争が発生し、主人公のアムロ・レイ(以下、アムロ)が運命的に乗り合わせた連邦政府の兵器「ガンダム」を駆り、多くの人たちと関わり人間として成長しながら、戦争を終結させるために奮戦する、という物語です。(かなり端折りましたが、我ながらうまく説明できていると思います)

◎映画『ククルスドアンの島』のあらすじについて(ネタばれ含みます)

・ククルス・ドアンについて

タイトルになっているククルス・ドアン(以下、ドアン)はジオン公国の元軍人です。大西洋のカナリア諸島にあるアレグランサ(実在する島です)に戦災孤児たちを匿い、子どもたちと畑を耕しながら自給自足の生活を送っています。この島に連邦政府やジオン公国の兵器(作中ではモビルスーツと呼ばれます)同士の戦闘が発生した際には、ドアン自らもモビルスーツ(「ザク」という名前です)を駆り、島に侵入してきたモビルスーツを破壊するなど、子どもたちが平和に過ごせるよう全力を注いでいます。

このドアンという人物は、現役の軍人の時に部隊のリーダーを任されるほどの実力を持っていますが、戦争に嫌気が刺して任務を放棄している状態なのです。

また、ドアンらが生活する島にはジオン公国が連邦政府を同時攻撃するために仕掛けた核ミサイルが六基配備されています。

ドアンはこのミサイルを無効化する活動をしていたのです。

・物語のあらすじ

ククルスドアンの島アレグランサに対し、連邦政府はアムロらが搭乗する戦艦であるホワイトベースを派遣します。

ガンダムに乗って島を調査中のアムロのもとに、ドアンの駆るモビルスーツ、ザクが襲い、ガンダムは崖から落下してアムロは気絶してしまいます。

その後、目を覚ましたアムロの前には、ドアンと子どもたちが畑で農作業をしたり、ヤギから乳を搾ったり、一緒に料理をつくったりして自給自足の生活を送っている姿が飛び込んできます。

アムロが乗っていたガンダムはドアンによって隠され、アムロはガンダムを探すために放浪します。しかし、島をいくら探しても見つかりません。

アムロはドアンや子どもたちと生活を共にしながら、ある日ついにガンダムの隠し場所を突き止めます。

その頃、ジオン公国が核ミサイルを起動させるために軍を派遣。それを察知した連邦政府はホワイトベースを差し向けます。

再びククルス・ドアンの島が戦場となってしまうのです。

アムロとドアンは協力し、ジオン公国の部隊を撃退。その直後、核ミサイルは発射されるも、ドアンの事前の工作によってミサイルは宇宙空間で自爆し、危機を脱しました。

・作中の描写について

ククルス・ドアンは元軍人でありながら、戦争に嫌気が刺し、自分がかつて所属していた側の任務を妨害するような活動を継続しながら、戦災孤児と生活を共にしていました。

軍人として任務を遂行していく中で多くの人々の命を奪い、悲しみに暮れる人々を眼前にすることにより、彼は戦争を拒否していくのです。

そんなドアンや島で暮らす子どもたちにとって、今回島に突然やってきたアムロは平和な生活を脅かす軍人でしかなく、「何でそんなやつ助けるのさ」と言われる始末でした。

アムロはドアンや子どもたちと生活を共にする中で、井戸水の配管が故障した際に修理したり、子どもたちが停電に苦しんだ際にはバッテリーを修理して窮状を救ったりすることで、軍人として厄介者扱いされるのではなく、対等な一人の人間として尊重され信頼を勝ち得ていきました。

戦争という非日常の緊急事態においては、軍人は争いや不幸を人々にもたらす存在です。しかし、そこにいるのはもともと、まぎれも一人の人間です。アムロも同様の存在として描かれます。

しかし、ドアンと協力して戦場になった島を救うことで、アムロは文字通り「ヒーロー」となったのです。

ドアンがピンチになった時、アムロがガンダムを駆り登場したシーンでは、灯台の明かりがガンダムを照らし、ガンダムは2本の刀(作中ではビームサーベルと呼ばれます)を持ってあらわれます。

これは巌流島の決闘に遅れた宮本武蔵を彷彿とさせます。ヒーローは遅れて登場するものなのです。

また、この戦闘シーンの直前に、子どもたちが飼育しているヤギが突然脱走します。

多くの映画評論サイトなどでは、この描写は酷評されていました。

しかし、私はこう考えます。脱走したヤギを追いかけたことで子どもたちは、ボロボロになりながらも命をかけて戦うドアンの姿を目撃する。未来を担う子どもたちに、「戦争の現実をしっかり知らせたい」、「平和の尊さを考えさせたい」という思いが込められた描写なのではないかと思いました。

アムロとドアンの共闘の後には、「ドアンとアムロがいれば戦争なんて怖くない」とはしゃぐ子どもたちに対し、ドアンは「いや、戦争は怖いものだ」と言ってはばからないのです。

・物語の終わり

アムロはドアンに対し、「あなたの身体に染みついている戦争の匂いが、戦いを引き寄せるんじゃないでしょうか?それを消させてください」と言い、ガンダムでザクを持ち上げ、海に沈めるのです。

アムロとドアンの共闘により、核ミサイルは破壊され、この島が今後戦場になることはないのではないかと思います。(そう思いたいです)

そんなドアンにとって、戦いのための兵器であるザクは、もう必要なくなります。

ドアンを戦争から解放してくれたという意味でも、アムロはやはり「ヒーロー」だったのではないでしょうか。

・エンディングで描かれる後日談 赤い「C」の帽子と「広島」「平和」

さて、この映画のエンディングは森口博子さんの「Ubugoe」という曲です。この曲が流れながら、ドアンと子どもたちの後日談が紹介されていきます。

その中で、ある男の子の誕生日パーティーが行われているシーンがあります。

この男の子は「C」と刺繍の入った赤い帽子をかぶっています。

私はこの赤い帽子は、「広島」「平和」を象徴しているのではないかと考えました。

広島には、広島カープという野球チームがあります。このチームは赤がイメージカラーであり、「カープ」は英語で鯉(こい)という意味を持つ言葉で「Carp」と書きます。

この球団は、原爆が落とされ敗戦した後の広島の人々を、大いに勇気づけてきた経緯があります。

原子爆弾は戦争において、多くの人たちの命をうばうため、当時の最先端の科学技術のもと生み出された兵器です。

しかし、戦争において用いられる「科学技術」は、使い方を変えれば「人々の幸せ」や「平和」につながる新しい発明を生み出すこともたくさんあります。

アムロが復旧させた電気、灯台のあかりも科学技術です。

子どもたちを守ったククルス・ドアンのザクは、もともとは兵器ですがドアンは子どもたちも守るための科学技術として使われました。

「科学技術を戦争ではなく、未来の人々の平和のために用いる」

ガンダムシリーズは、様々な形で戦争の悲惨さを描いてきました。戦争ははじめるのは簡単ですが、終わらせるのはとても大変です。アムロらも戦争を終わらせるために奮戦しますが、そのためにたくさんのものを失うのです。

私はこの作品から、争いのない世界、平和につながる産声を感じとることができました。

たくさんのことに気付かせてくれる『機動戦士ガンダム ククルスドアンの島』、記事を読んで興味を持った方は、是非見ていただきたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。